多くの方がキッチンのリノベーションを考える際に、具体的なイメージが湧きづらいと感じているのではないでしょうか。しかし、事前に自分の理想のキッチンを明確にしておけば、業者との相談もスムーズに進められます。「こんな風にしたい!」と具体的な提案ができるからです。
この記事では、キッチンのスタイルやリノベーションのポイント、費用相場、失敗しないための注意点について詳しく解説します。キッチンリノベーションについての基礎知識が身につき、自分の理想のキッチンを具体的にイメージする手助けとなるでしょう。ぜひ最後までご覧ください。
キッチンのスタイルはどうやって決める?
キッチンのスタイルを決める際には、たくさんの選択肢の中からどれが最適か迷ってしまうことがあります。こちらでは、キッチンのスタイルを決めるためのヒントをご紹介します。
① 家族構成や生活スタイルを考慮する
例えば、「子供がまだ小さいので、家族の様子が見られる対面式のキッチンにして、将来的にも子供が手伝い易いようにアイランドキッチンにしよう」といった具体的なアイデアが考えられます。
「来訪者が頻繁に訪れるため、キッチンの散らかりが見えないようにセミオープン型にし、お客様用のお皿やキッチングッズを収納できるL型かU型キッチンにしよう」といった考え方もあります。
家族構成や日常の生活を考えることで、自然と理想のキッチンの方向性が見えてきます。
② 困っていることを洗い出す
現在のキッチンで困っていることや改善したい点をリストアップしてみましょう。「大きな調理器具を置くスペースが不足している」「夫婦で一緒に料理すると手狭に感じる」など、些細なことでも構いません。これらの課題を明確にすることで、リノベーション後の理想のキッチン像がより具体的になります。
③ ワークトライアングルを考慮する
ワークトライアングルは、シンク・コンロ・冷蔵庫の3つを結んだときに形成される三角形のことです。この三角形の各辺の長さの総和が3.6m~6mであることが理想的であり、正三角形に近いほど作業効率が高まります。
キッチンのスペースや冷蔵庫の配置を考慮して、ワークトライアングルが確保されるようなスタイルを選びましょう。
キッチン本体を選ぶポイント!
キッチン本体を選ぶ際のポイントをご紹介します。
① 作業スペースの幅
キッチンを選ぶ際には、作業スペースの幅を注意深く見てください。
ここで行う作業は食材の準備だけでなく、調理後の盛り付けや食器の洗浄など、さまざまです。作業スペースが狭いと、作業の間に片付けを繰り返す必要が生じ、ストレスを感じることもあります。間口の兼ね合いも考慮しつつ、できるだけ使いやすい幅を選びましょう。
② 作業しやすい高さ
キッチンの高さは、一番頻繁に使う人の身長を基準に考えると良いでしょう。一般的な公式では、「キッチンの高さ=身長÷2+5 cm」とされています。これによれば、身長150cmの場合、理想の高さは80cmとなります。ただし、個々の体型や好みによって異なるため、実際の動作をシミュレーションしながら検討することが大切です。
③ 通路スペースの確保
キッチンの奥行きが広すぎると通路が圧迫されてしまいます。1人で作業する場合は80cm~90cmのスペースが、2人以上で作業する場合は120cmが理想的です。通路が広すぎてもワークトライアングルが崩れ、作業効率が悪化する恐れがあるので注意が必要です。
④ 十分な収納力
キッチンの収納力は重要なポイントです。収納スペースが不足すると、キッチンが乱雑になりがちです。よく使う調理器具や食器は手の届きやすい場所に収納できるかどうかを確認しましょう。
⑤ ワークトップの素材
ワークトップの素材は、キッチンの外観に大きな影響を与えます。素材によっては、お手入れが簡単なものや傷がつきにくいものがあります。日常的な使用状況や予算に合わせて素材を選ぶことが重要です。
⑥ コンロや食洗機の組み込み
ビルトインコンロや食洗機を組み込む場合は、使い勝手やサイズに注意が必要です。特に海外製品は日本の規格と異なる場合があるため、工務店と相談することが重要です。
これらのポイントを考慮しながら、理想のキッチン本体を選んでください。
キッチンリノベーションの相場はどれくらい?
キッチンのリノベーション費用について気になる方も多いかと思います。以下では、一般的な相場について説明します。
一般的なキッチンリノベーションの相場
キッチンをリノベーションする際の予算は、様々な要因によって異なります。以下の表は、費用と可能な作業内容の一般的な目安です。
費用 | できることの目安 |
50万円未満 | 食洗機、コンロ、水栓、シンクなど部分的な機材の交換や設置。 |
50~150万円未満 | キッチン本体の新調。位置は大幅には動かせないが、壁付け→対面型などレイアウトの変更も可能。 |
150万円以上 | キッチンの位置の移動。大規模なインフラ工事が発生する場合。 |
費用を抑える方法は?
キッチンリノベーションの費用を抑えるためには、以下のポイントがあります。
・予算を事前に設定する
ショールームやカタログで魅力的なキッチンを見ると、ついつい予算をオーバーしてしまいがちです。予算を事前に設定し、リノベーションの優先順位を考えることで、無駄な出費を避けることができます。
また、妥協できないポイントをあらかじめ決めておくと、より効果的です。
・DIYも検討する
キッチンの中でDIYが可能な部分は壁紙などです。広さや条件に応じて、自分で壁紙を貼り替えたり、収納棚を作ることができます。DIYに慣れている方は、自分の手で工夫を加えることで費用を抑えることができます。
・複数の業者から見積りを取る
工事費用は業者によって異なることがあります。複数の業者から見積りを取り、比較検討することが重要です。価格だけでなく、提案内容や行程にも注目し、信頼できる業者を選ぶことが大切です。
キッチンリノベーションの注意点は?
キッチンリノベーションには、電気・水道・ガスの接続など、複雑な作業が必要です。注意点を以下にご紹介します。
● 排水管の位置
キッチンを移動する際には、隣接するお風呂やトイレなどの配管との関係が重要です。共用部である「PS(パイプスペース)」の位置を考慮しましょう。PSの移動は難しいため、キッチンとPSの位置が遠くなると大規模な工事が必要になる可能性があります。
● 電気・ガスの容量
ガスコンロからIHに変更したり、食洗機を設置したりする場合、電気やガスの使用量が増える可能性があります。マンション全体の使用量制限に留意し、規約や管理組合に確認を行いましょう。
● 搬入可能性の確認
キッチン本体の搬入は部品ごとに行われますが、天板などの大きな部品は搬入が困難な場合があります。特に古いマンションではエレベーターが狭いことがあるため、事前に搬入経路を確認しておきましょう。
● 管理組合の承認
マンションでのリノベーション工事には、管理組合からの承認が必要です。規約を確認し、工事内容について管理組合に申請を行いましょう。また、機材の搬入や共用部の利用についても許可を得ることをお忘れなく。
キッチンのタイプ別事例:
さまざまなタイプのキッチンについてご紹介します。
● 対面キッチン
リビングやダイニングに面したキッチンで、お子様の様子を見ながら料理や家事を行うことができるため、子育て中の方に人気です。背面に収納スペースを確保することもでき、生活感を出したくない方にもおすすめです。マンションのリノベーションではよく見られるスタイルです。
● 壁付けキッチン
壁に向かってキッチンを配置するタイプで、料理の油などが周りに飛び散らないのが特徴です。造作のカウンターや棚を設置することで、調理スペースを拡張し、家電を隠すことも可能です。お掃除の手間を減らしたい方にもおすすめです。
● アイランドキッチン
リビングやダイニングに面し、キッチン壁面から離れた場所に設置するタイプです。複数人で調理することができ、キッチン周りを回遊できるため家事がしやすいです。ただし、リビングやダイニングからキッチンが見えるため、キッチン雑貨などを隠したい方には不向きかもしれません。
● Ⅱ型のキッチン
シンクとコンロのキッチンカウンターが並列して配置されるタイプです。作業スペースが広く、収納もしっかり取れるのが特徴です。しかし、キッチンが2つ分のスペースを必要とするため、間取りやサイズに注意が必要です。
● L型キッチン
L字型に配置されるキッチンで、シンクとコンロが対面または横並びに配置されます。作業スペースが広く、角に収納スペースが設けられるため、効率的なキッチンです。ただし、広いスペースが必要となるため、間取りによっては設置できない場合もあります。