多くの方々が、今お住まいの家の耐震性について心配されているかと存じます。リノベーションを検討する際には、耐震補強も同時に施すことで、長期的に安心して生活できるでしょう。そこで、この記事では、耐震補強の際のポイントや費用の目安について丁寧にご説明いたします。
そもそもリノベーションってなに?
リノベーションとリフォームの違いを説明しますと、リノベーションは既存の建物をマイナスからプラスに変えて、理想的な空間や部屋を作るプロセスです。これに対して、リフォームは古くなった設備などを修理し、生活に支障のない状態に戻すことを指します。リノベーションでは新しい機能や設備を追加して、機能性を向上させますが、リフォームは既存の要素を改善して古さや劣化を解消します。
範囲で分類 – リノベーションの種類
リノベーションの種類は、実施範囲に応じて3つの異なるカテゴリに分けることができます。具体的には、フルリノベーション、表層リノベーション、そして部分リノベーションの3つです。
フルリノベーションは、費用面で最も高額になります。一方、表層リノベーションと部分リノベーションは、範囲によっては比較的費用が低く抑えられることが特徴です。
リノベーションの自由度について言えば、やはりフルリノベーションが最も高い自由度を提供します。ただし、その代わりに、施工期間が長くなることがあり、仮住まいなどの準備が必要になることも考えられます。
フルリノベーション
フルリノベーションには、建物全体を改装する必要があるため、それに伴う費用は高額になりますが、自分の好みに合わせてリノベーションを行うことができるため、その自由度が人気の要因です。
現在、古い築年数の中古マンションや一戸建てなどをお手頃価格で購入し、その後にフルリノベーションを施す方法が広まっています。これによって、理想的な居住空間を実現することができます。
ただし、注意点も存在します。リノベーションにかかる時間が長くなる可能性や、自分の理想を明確に伝えないと、思い描いていた通りの仕上がりにならない可能性があります。特に、入居しながらのフルリノベーションを行う場合、仮の住まいを探す必要があることも覚えておくべきです。
表層リノベーション
表層リノベーションは、建物の外観や見た目を改善するために行われる方法です。通常、比較的新しいマンションや一軒家を購入し、設備に大きな問題はないが外観を変更したい場合に選択されます。
この方法は一般的に費用が抑えられる傾向がありますが、将来的には設備の交換などが必要になる場合もあるため、長期的な費用を考慮する際には注意が必要です。配管などの設備は既存のものを使用するため、劣化が進行すると交換が必要になる可能性があります。そのため、表層リノベーションが最終的には費用が高くつく場合もあることに留意してください。
部分リノベーション
部分リノベーションは、特定の箇所に焦点を当て、希望するリノベーションを行う方法です。これは、完全なリノベーションに比べて費用対効果が高い選択肢と言えます。
特に、部分リノベーションで人気のある箇所は、キッチン周りや浴室などです。中古のマンションや一軒家を購入した場合、水回りの部分リノベーションが積極的に行われていることが多いでしょう。
また、子供が独立した後に余った部屋を大きくするために壁を取り扱い、広々としたスペースにリノベーションする例や、子供部屋を書斎や趣味の部屋に変えるなど、さまざまな種類の部分リノベーションが行われています。
リノベーションによる耐震補強は可能?
リノベーションは、耐震補強を行う最適なタイミング!
戸建て住宅をリノベーションする際には、耐震補強の工事も同時に実施することができます。壁や床を取り外す際には、現在の耐震性をより明確に把握できるため、必要性も判断しやすくなります。もし耐震性に不安がある場合は、リノベーションと耐震補強工事を同時に行うことを検討しましょう。
安心で快適な生活を実現可能!
日本は地震が頻発する地域であり、住宅の耐震性を高めることは非常に重要です。古い中古住宅であっても、リノベーションと耐震補強工事を行うことで、安心で快適な生活を送ることができます。リノベーション後に別途耐震補強工事を行うと、コストが二重にかかってしまいますが、同時に工事を行うことで経済的なメリットも享受できます。
耐震・制振・免震構造ってなに?
耐震・制振・免震構造が施された住宅は、地震に強いと言えます。これらの技術は絶えず進化しており、一般的に新しく建てられた住宅ほど地震に強力であると考えてもよいでしょう。以下に、これらの構造の特徴を簡単に説明します。
【耐震構造】
耐震構造は、建物の強度を高め、大きな地震に耐えるための強化手法です。従来の木造建築物が柱と梁を縦横に配置するだけだったのに対し、現代の耐震住宅は柱を筋交いで補強し、横揺れに対する強度を向上させています。また、柱を使わないツーバイフォー住宅もあり、頑丈な壁を組み合わせて全体の耐震性を向上させています。現在、日本で建設される多くの戸建住宅がこの耐震構造を採用しています。
【制振構造】
制振構造は、地震の揺れを吸収する装置(ダンパー)を建物内に配置する住宅構造です。ダンパーは、建物が揺れた際に歪みを吸収し、地震による損傷を最小限に抑えます。制振構造を持つ住宅に住む人々は、大きな地震が起きてもほとんど揺れを感じません。これにより、恐怖心を軽減できるという利点もあります。さらに、制振構造は耐震構造よりも建物への負荷を軽減し、免震構造よりも低コストで実現できます。
【免震構造】
免震構造は、建物を直接地面に設置せず、免震装置を用いて基礎と建物の底面を分離する住宅構造です。免震装置は、地震の揺れを吸収し、建物に揺れを伝えません。このため、住民が実際に感じる揺れは大きな地震でもほとんどありません。免震構造は最も安全な選択肢の一つですが、その分コストが高く、主に高級集合住宅やタワーマンションなどで使用されています。
耐震補強リノベーションの費用相場は?
耐震補強に要する費用は、工事の内容や規模、業者によって異なります。
リノベーションをお考えの場合も同じく、信頼できる業者に複数の見積もりを依頼するなど、慎重に選びましょう。
新耐震補強工事の平均額は152万円
2021年3月に発表された日本木造住宅耐震補強事業者協同組合のデータによれば、耐震補強工事の平均施工金額は以下の通りです。
・ 旧耐震基準の住宅…189万円
・ 81-00住宅…152万円 ※
※ 81-00住宅とは、1981年から2000年に建築された在来軸組工法で建設された住宅を指します。
耐震診断も受けるとより安心!
耐震診断とは、旧耐震基準の建物の耐震性を新耐震基準に基づいて診断することです。日本耐震診断協会や建築士協会などに相談・依頼することが可能です。
日本耐震診断協会では、建物の概要や使用年月、増改築の有無、経年劣化の状態を確認した上で、耐震性を検討・評価します。耐震診断費用の目安は以下の通りです。
・ 延床面積120㎡程の在来軸組構法の建物で、おおむね20万円~50万円
耐震補強を検討している場合は、日本耐震診断協会などの関連団体や建築士、不動産会社などに相談し、耐震診断を受けることでより安心できるでしょう。