
リフォームとリノベーションの違いについて疑問を抱く方は多いでしょう。
最近では「リノベーション」という言葉もよく耳にしますが、実際には「リフォーム」と同じように使われることもあります。
そこで本記事では、混同しやすい「リフォーム」と「リノベーション」の違いや、リノベーションに関する役立つ情報をご紹介いたします。
リフォームってなに?

「リフォーム」とは、一般的には老朽化した建物を新築の状態に復元することを指します。特にマンションやアパートの場合には、入居者が退去した後に、その部屋を入居前の状態に戻すことを指すこともあります。
これは原状回復とも呼ばれます。
また、英語の「reform」は「悪い状態からの改良」を意味し、リフォームという言葉は基本的に壊れたり汚れたり老朽化した部分を修復したり、美しくしたり、新しくしたりすることを指します。
リフォームは、何かしらの機能が損なわれたり、不快な状態から元の状態に戻すための作業として捉えられることが一般的です。例えば、外装の塗り直し、キッチン設備の交換、壁紙の張り替えなどがその例です。
リノベーションってなに?

リノベーションとリフォームの違いを説明しますと、リノベーションは既存の建物をマイナスからプラスに変えて、理想的な空間や部屋を作るプロセスです。
これに対して、リフォームは古くなった設備などを修理し、生活に支障のない状態に戻すことを指します。
リノベーションでは新しい機能や設備を追加して、機能性を向上させますが、リフォームは既存の要素を改善して古さや劣化を解消します。
範囲で分類 – リノベーションの種類
リノベーションの種類は、実施範囲に応じて3つの異なるカテゴリに分けることができます。具体的には、フルリノベーション、表層リノベーション、そして部分リノベーションの3つです。
フルリノベーションは、費用面で最も高額になります。一方、表層リノベーションと部分リノベーションは、範囲によっては比較的費用が低く抑えられることが特徴です。
リノベーションの自由度について言えば、やはりフルリノベーションが最も高い自由度を提供します。ただし、その代わりに、施工期間が長くなることがあり、仮住まいなどの準備が必要になることも考えられます。
フルリノベーション
フルリノベーションには、建物全体を改装する必要があるため、それに伴う費用は高額になりますが、自分の好みに合わせてリノベーションを行うことができるため、その自由度が人気の要因です。
現在、古い築年数の中古マンションや一戸建てなどをお手頃価格で購入し、その後にフルリノベーションを施す方法が広まっています。これによって、理想的な衣住空間を実現することができます。
ただし、注意すべき点も存在します。リノベーションにかかる時間が長くなる可能性や、自分の理想を明確に伝えないと、思い描いていた通りの仕上がりにならない可能性があります。特に、入居しながらのフルリノベーションを行う場合、仮の住まいを探す必要があることも覚えておくべきです。
表層リノベーション
表層リノベーションは、建物の外観や見た目を改善するために行われる方法です。通常、比較的新しいマンションや一軒家を購入し、設備に大きな問題はないが外観を変更したい場合に選択されます。
この方法は一般的に費用が抑えられる傾向がありますが、将来的には設備の交換などが必要になる場合もあるため、長期的な費用を考慮する際には注意が必要です。配管などの設備は既存のものを使用するため、劣化が進行すると交換が必要になる可能性があります。そのため、表層リノベーションが最終的には費用が高くつく場合もあることに留意してください。
部分リノベーション
部分リノベーションは、特定の箇所に焦点を当て、希望するリノベーションを行う方法です。これは、完全なリノベーションに比べて費用対効果が高い選択肢と言えます。
特に、部分リノベーションで人気のある箇所は、キッチン周りや浴室などです。中古のマンションや一軒家を購入した場合、水回りの部分リノベーションが積極的に行われていることが多いでしょう。
また、子供が独立した後に余った部屋を大きくするために壁を取り扱い、広々としたスペースにリノベーションする例や、子供部屋を書斎や趣味の部屋に変えるなど、さまざまな種類の部分リノベーションが行われています。
リフォームとリノベーションの違いはなに?

現在、「リノベーション」と「リフォーム」という言葉の使い分けが曖昧になってきており、明確な線引きが難しくなっています。
しかし、両者にはそれぞれ異なるメリットやデメリット、工事の規模や住まいの性能に関する違いが存在します。では、それぞれの違いについて詳しく見ていきましょう。
工事の規模
設備の変更や修繕など、比較的小規模な工事は「リフォーム」とされます。例えば、システムキッチンやユニットバスの入れ替え、壁紙の張り替えなどが該当します。
一方、「リノベーション」は大規模な工事を指し、間取り変更や水道管、排水管、冷暖房換気設備の変更などを含みます。
リノベーションでは、躯体構造だけにして改修を行う「フルスケルトン」と呼ばれるケースも見られます。
そのため、部分的な改修を行うリフォームに比べて、工事の規模が大きいのが特長です。
住まいの性能
「リフォーム」は新築時と同等か以下の性能を目指しますが、「リノベーション」は新築時以上の性能を追求します。
また、用途の変更が伴うリノベーションを「コンバージョン」と呼ぶこともあります。
リノベーションでは、プランニングの段階から使用する素材をオーダーできる場合も多く、断熱や採光、通風、省エネ、耐震設計など、住まいの性能を大幅に向上させることが可能です。
さらに、収納性の向上など生活の質を高める改善も図れるため、住宅の価値も飛躍的に向上するでしょう。
戸建て住宅をリノベーションするメリットは?

住宅を自由に変更可能
戸建て住宅は、マンションとは異なり、管理規約や制約がほとんどありません。この点が、窓から水回り、ベランダまで、住宅全体を自由にリノベーションできる大きなメリットです。制約がないため、個人の判断でリノベーションのスケジュールや使用する素材、工事方法を自由に決定できることも、また一つの魅力と言えるでしょう。
新築戸建ての購入と比較して安い
新築の戸建て住宅を購入することが予算的に難しいと感じる人も多いのではないでしょうか。特に都市部では土地の価格が高騰しており、そのために戸建て住宅を諦めてマンションを選ぶ方も増えています。しかし、中古の戸建て住宅を購入し、それをリノベーションするという選択肢を検討することで、予算を抑えることができます。
リノベーションを行う場合、新築の注文住宅と比較して費用を削減できます。さらに、リノベーションプロジェクトでは、内装を自分の好みに合わせることが可能です。これにより、まるで注文住宅を建てるような感覚で、自分にぴったりのカスタマイズされた住まいを実現することができます。
資産価値が下がりにくい
戸建て住宅を所有する場合、建物と土地の両方を手に入れることができます。建物の価値は時間とともに減少していく傾向があります。築年数やその他の条件に依存することもありますが、中古の戸建て住宅を購入する際、多くの場合、購入価格の大部分が土地の代金に充てられます。そのため、資産価値の減少リスクは比較的低いと言えます。
戸建て住宅をリノベーションするデメリットは?

入居までに時間がかかり、選択肢が少ない場合も
中古の一戸建て住宅を購入し、リノベーションする場合、購入後にすぐに入居することはできません。設計の打ち合わせと工事には数ヶ月から半年ほどかかり、工事が完了するまで入居を待つ必要があります。さらに、都心部では特に、中古の一戸建て物件は中古マンションに比べて少ない傾向があります。希望条件に合った物件を見つけることが難しく、物件探しに時間がかかることも考えられます。
費用が高額になるケースも
一般的に、新築の注文住宅と比較して費用面でメリットがありますが、物件の状態やリノベーションの規模によっては、それなりの費用がかかることがあります。たとえば、屋根、外装、基礎などの修復が必要な場合費用が高くなる可能性があります。
また古い一戸建て住宅は、特に断熱性や耐震性を向上させる必要がある場合があります。長期間にわたり安心して住み続けるために、建物全体の性能を向上させる工事が求められることもあり、このような場合には、間取りの変更などの工事費用に加えて、断熱の改善や耐震補強などにかかる費用も考慮する必要があります。
リノベーションはいつやる?

最近では、新築物件を購入する代わりに、初めから中古のマンションや一軒家を手頃な価格で入手し、その差額を使ってリノベーションを行う方法が一般的になっています。通常、購入時にリノベーションを行うことが一般的ですが、家族構成が変わった際や、子供が自立した後、または退職後の老後のためにリノベーションを検討するケースも増えています。
また長らく住んでいた住居を改装して、二世帯住宅に変えたり、生活リズムの変化に対応できる点が、リノベーションの魅力の一部です。
リノベーションにはさまざまな選択肢があるため、自身の希望に合った選択を考える必要があります。リノベーションを行うタイミングによって、最適なアプローチが変わることがあるため、その状況や予算に応じて適切な方法を選ぶことが大切です。
さらに、リノベーションを検討している場合は、できるだけ早い段階で施工会社などの専門家と相談し、専門的なアドバイスを受けることをおすすめします。
アフターサービスもお忘れずに!
住み始めてみると、引き渡し時には気付かなかった問題が浮上することがよくあります。これらは、家の傾きや傷などの大きな課題だけでなく、ドアノブが硬いなどの小さな不具合も含まれますが、日常生活においては予想以上にストレスを引き起こすことがあります。
ですから、こういった小さな不具合まできちんと対応してくれるアフターサービスが提供されているかを、契約前に確認しておくと安心です。疑問点がある場合は、契約を締結する前に必ず確認し、安心して次のステップに進むよう心がけましょう。
