
重層長屋って何?
重層長屋は、建物が上下に重なった形をしています。
入り口は1階にありますが、1階と2階は別々の住戸で、内部のレイアウトが異なります。
このレイアウトの違いにより、単身者や家族など、様々な入居者のニーズに適した物件です。
建築基準法によれば、特殊建築物には該当せず、共同住宅よりも規制が緩やかです。
重層長屋の5つの特徴

❶ 供給が少ない
重層長屋は、マンションやアパートに比べ、供給量が少ない傾向にあります。
そのため、新しい入居者が迅速に見つかりやすく、所有者にとっては空室を最小限に抑えることができます。
❷ 各住戸の面積が広い
重層長屋では、各住戸の面積が広く取られています。
賃貸の場合、階段や廊下などの共有スペースが必要となり、部屋の面積が制限されることが一般的ですが、重層長屋は共有スペースが不要なので、部屋の広さを確保しやすいです。
❸ 特殊な地形でも建築可能
重層長屋は、狭小地や変形地でも建築が可能です。
マンションやアパートのような共有住宅は、特殊な建築物に該当し、厳格な建築規制が適用されますが、重層長屋は特殊建築物ではないため、建築の柔軟性が高く、狭い土地や変形地にも適しています。
❹ 共有部分がない
重層長屋には、廊下やエントランスなどの共有部分がありません。
これにより、隣人との接触を最小限に抑えることができます。
また、共有部分のないことでメンテナンス費用が節約でき、所有者と居住者の双方にとっても負担が軽減されます。
❺ 各住戸の独立性が高い
重層長屋は、各住戸の独立性が高い特徴があります。
共同住宅(マンションやアパート)では、上下左右に隣接する住戸があるため、隣人の生活音や会話音に悩まされることがありますが、重層長屋では、上下にのみ隣接するため、隣人からの影響が少ない居住環境です。
重層長屋のメリットは?

❶ プライバシーを確保できる
重層長屋は、マンションやアパートのような共用の玄関や廊下がないので、他の住人と接することがなく、プライバシーを守りやすい環境です。
近所付き合いが苦手な方にとっては、ストレスを感じにくいでしょう。
❷ 法的規制が緩やか
重層長屋は、建築基準法の「特殊建築物」には該当しません。
特殊建築物には、不特定多数の人が利用する建物など規制を設けるべき建物が含まれます。
商業施設や病院など、多くの人が利用する施設は、安全性を確保するために厳しい基準が設けられています。
都道府県によっては、規模が大きいマンションも特殊建築物に指定されることがあります。
一方、重層長屋は特殊建築物に該当しないため、建築の際の法的規制が緩やかであり、建設しやすい特長があります。
❸ 建築が困難な場所でも建てられる
重層長屋は、狭小地や変形地でも建築が容易です。
土地が狭い場合や形が変形している場合、一戸建てや大規模なマンションの建築は難しいことがあります。
一般的に、災害時の避難経路を確保するためには、道路に4m以上の幅員が必要とされますが、重層長屋の場合、2m以上の道路幅があれば建設が可能です。
また、共有スペースが必要ないため、敷地の有効活用が容易であり、建築費用も抑えることができます。
重層長屋のデメリットは?

❶ 騒音問題
重層長屋では、住居が上下に分かれているため、下の階にとっては上の階からの騒音が懸念されます。
階段の音や歩行音、物を動かす音などが響くことがあります。
特に木造の重層長屋では、騒音問題がより顕著になることがあります。
下の階に住む方にとっては、上の階の住人の配慮が不足していると、騒音がストレスとなるかもしれません。
また、重層長屋は左右にも住居が並んでいるため、窓を開けていると隣人の会話や子供の遊び声が聞こえることもあります。
神経質な方にとっては、これらの騒音がストレスの原因となる可能性があります。
❷ デザインの制約
重層長屋の1階には階段が設置されるため、1階は広さに制約が生じます。
共同住宅では階段が共用スペースに配置され、住居の間取りは均一化される傾向がありますが、重層長屋では階段や廊下などの共用スペースが存在しないため、間取りの工夫が制限されます。
間取りにこだわる方にとっては、理想の生活空間を実現するのが難しいかもしれません。
❸ 火災のリスク
重層長屋は住戸が上下左右に隣接しているため、火災が発生すると燃え広がりやすい構造になっています。
また、狭小地でも建設が可能なため、建物が密集しやすい環境になります。
このため、一つの住戸から火災が発生すると延焼の危険性が高まります。
重層長屋は特殊建築物に該当しないため、法的規制が緩いこともあり、消火や避難の設備が充実していない場合もあります。
火災予防と対策が重要であり、住人一人ひとりがその意識を持つことが必要です。
